TOP > note > WordPressとWordCampと人の力の美しさについて

好きな詩があります。茨木のり子さんが書いた「六月」という名のその詩は時々、私に生きている場所を振り返らせてくれます。

どこかに美しい村はないか
一日の仕事の終わりには一杯の黒ビール
鍬を立てかけ 籠をおき
男も女も大きなジョッキをかたむける

どこかに美しい街はないか
食べられる実をつけた街路樹が
どこまでも続き すみれいろした夕暮れは
若者のやさしいさざめきで満ち満ちる

どこかに美しい人と人の力はないか
同じ時代をともに生きる
したしさとおかしさとそうして怒りが
鋭い力となって たちあらわれる

いきなり詩から始まってしまいましたが、今年一年を振り返るとそんな年だったように思うのです。

特に後半、WordCamp Tokyo 2019 に登壇させていただいて、WordCamp Osaka 2019 ではLTをさせていただいて。
ありがたいことにWordPress関係での登壇はここのところ毎年どこかでさせていただいていたのですが、今年のこの二回はどちらも珍しく緊張がありました。

人前に立って話すのにそんなに緊張をする性質ではないので、どうして今回は緊張したのだろうかと考えてみると、どちらもWordPressの話だけれど、WordPressの技術的な話ではなく、WordPressを通してどう動いていくかという話で、それを謂わば「技術カンファレンス」として参加している人も多いWordCampで話すことに「どれだけ受け入れてもらえるだろうか?」という不安があったからのように思います。

ただ、不安でも緊張してでも、今年、私はこういったことを誰かに、できれば多くの人に伝えたかったのです。

それは、ちっぽけな個人が、多くの人の力が集まって作られているWordPressというものを使って何をしているかという、WordPressというツールの先を見てもらいたかったからのように思っています。

WordPressはそのミッションとして「パブリッシングの民主化」を掲げています。
今の世の中、発信できるツールはWordPress以外にもあり、私はそれも活用しています。TwitterやFacebookもそうです。でも、それはそのサービスの中のルールがあり、その枠の中でしていることです。

WordPressを使うにはサーバーを用意してドメインを取って、「サイトを作る」という作業が必要です。しかし、そこに自由があります。自由に書いて良い。自由に発信して良い。当たり前のように感じるかもしれませんが、意外と私たちの周りには自分自身というものを含め、自らを縛っているものが多くありませんか?

なのでその上での私にとっての「パブリッシングの民主化」を考えるのです。

ちょっと話は飛びますが、2018年、WordBenchという日本のローカルWordPressコミュニティイベントを盛り上げていたサイト(コミュニティ名)の終了というものがありました。その時にたくさんの人がいろんな気持ちをブログに書いて。渦中にあった私はむしろ「絶対に書くもんか」と思っていました。きっとその時に何かを書いてそれで気持ちを収めてしまいたくはなかったのかもしれません。
そして、書かないという選択をしたのは、それはその時に、幸福にも私には小さいけどできることがあったからだ、とも思います。(WordPress Meetupへの移行を支えるということに尽力していました)
いつでも、できることがあるというのは幸せなことです。
力が小さく、理想には及ばないにしても。

1年半経って、結果として良い方向に行ったのでは、と思っています。でも、もしかすると傷はまだ残っているのかもしれません。誰かの傷を癒すことができたら、と思うけれど、それは私の力でどうにかと思うのはむしろ傲慢で、時間に任せるしかないとも思います。
だけど、きっと、私はまた自分に何かできることがあれば、自分の力の小ささや及ばなさに悔し泣きしながらも、それをしようとするでしょう。
そして、私はあなたといつでも話をしたいと思っています。

なぜかというと、そこに美しい力があるからです。人と人が作る力。個の力とそれが結びついた時に生まれるもの。その美しさ。
私はそれを信じているのだと思います。

WordPressの世界に上下はありません。すごい人はいるけれど、偉い人はいないはずです。
思うに、私たちはずっと自分をラベルづけする社会の中で生きてきました。男の子女の子、何組何番、何位、学歴、会社。
でも私が何かを書く時、私はただ一個の人間です。あなたが何か書くときも、同じく。
そんな風にただ一個の人間が、楽しく(まあ時には苦しいけれど)何かを生みだしながら、想いながら、書いたり繋がったりしていって、たまには心が通じたみたいな瞬間があったりしたら、これはもう美しくないわけがないと思うのです。

未分の光が乱反射してきらきらするみたいに。あなたの言葉を聞きたいし、あなたの想うことを自由に書いて欲しい。それは「想い」かもしれないし「情報」かもしれない。だけど、それに心動かされたり、助けられたりする人がいる。そうして広がって繋がっていくものは、大きく何かを変える可能性を持っている。

非常に情緒的ですが。これが私が1年を通して言いたかったこと、そして私の考える「パブリッシングの民主化」なのです。

さて、実際話してみてどうだったかというところですが、とても良い反応をいただきました。実際の場でもたくさんの人が感想を伝えたいと会いに来てくれて。Twitterでも反応をもらって。嬉しかったです。すごくホッとしました。
そこから続く話も。

WordCamp Tokyo でのセッションが 山梨 WordPress Meetup が立ち上がるきっかけとなったとのこと。

WordCamp Osaka での LT が グローバルのドキュメントチームでMeeting noteを書くきっかけとなったよとのこと。

本当にありがたい。
自分が想いを込めて発したことが、誰かにちゃんと受けとめてもらえて、動くきっかけになったなんて、これ以上にすごいことはないんじゃないかと思っています。受けとめてくれてありがとうございます。そしてそんな機会をくださったWordCamp Tokyo, WordCamp Osaka 実行委員会の皆さまありがとうございました。

今、私は WordPress コミュニティのグローバルのコミュニティチームで動いているのですが、そういうのもWordPressを通じた誰かの想いを繋ぐというのが好きでやっているように思います。またいつか、どういうことをしてるのかとかも書こうかな。(読みたい人はいるのだろうか)

2020年。まずは2月にWordCamp Asia 2020 があります。こちらはAsia初めてのフラッグシップWordCampということで、デザインチームの中で動いています。

それと!WordCamp Ogijima 2020 をやりますよ。楽しみ。男木島はとても綺麗な島で、しかも住んでいる人たちも楽しくて。ここでWordPressが好きなみんなと会えることが楽しみで仕方がありません。そしてWordPressが好きなみんなとWordCampが作れることも。今回は実行委員、サポートスタッフ、インターンという役割を作って募集をしています。締め切りは12月31日。ぜひ一緒にWordCampを作りませんか?

そうそう。そんなに旅に出るみたいには動けないよ、という方、ちょっとだけ覗いてみたいけどという方には、 WP ZoomUPというオンラインでのWordPress勉強会があります。
来年1月には 1月11日 #33 WP ZoomUP 新年座談会 & WordCamp Asia 情報交換会26日 #34 WP ZoomUP 新春スペシャル 100%GPLテーマ作者大集合! とが決まっていますので、こちらもお気軽に参加してみてください。

ここに同じ時代をともに生きる「美しい人と人の力」がありますよ。


arrow-left 「WordPressのやさしい教科書。 」を書きました
Previous post

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください